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episode2
地元に戻るのは久しぶりで、電車で1時間揺られた。
危うい記憶と戦いながら、母校を目指す。
宗介と過ごした校舎をフェンス越しに見つめながら、向日葵畑に向かうため、裏道へ行くために道なき道を進んで行く。
23年も経っていたのに、変わらない向日葵畑がそこにあった。
いつも来ていた大きな向日葵の前に私は足を運んだ。
もちろん、向日葵畑に宗介の姿はなかった。
しかし、大きな向日葵の葉っぱに紙が乗っかっていた。
その紙には、1行だけ文字が書かれていた。
『霞々丘霊園 E-21』
その文は、宗介の筆跡じゃない。
だけど、私はここに行かなければならない。
そんな気がした。
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