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霞々丘霊園のE列の12番目の墓。
その墓には、『藤村』と書かれていた。
お墓の横を見ると、『藤村宗介』という文字が刻まれていた。
宗介のお墓に来るのは初めてだった。
葬式に行くのがやっとだった。
宗介が焼却炉に入った後、私はずっと車に閉じこもっていた。
遺骨になった宗介を見たくなかった。
宗介が死んだなんて、信じたくなかった。
私は車で泣きじゃくる事しか出来なかった。
不思議な事に、今は懐かしさでいっぱいで、心の底から安眠を祈る事が出来た。
どうして、こんな大切なことを忘れていたんだろう。
宗介は、私にとって大切で、永遠に心の中で生きているのに、お墓に来るということをずっと避けてた。
宗介のことも思い出すと辛いから、頭の奥の方に閉まって、思い出すことさえしようとしなかった。
「ごめんね。
来るのがだいぶ遅くなっちゃったね」
私は罪悪感を感じながら、宗介のお墓を撫でた。
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