1人が本棚に入れています
本棚に追加
「来て頂けたんですね」
後ろを振り返ると、今日来た配達員さんがそこにいた。
「向日葵畑にメモを置いたのも、書いたのも僕です。
いきなりこんな事をして、すみませんでした」
若い男は朝と同じように深く頭を下げた。
「僕は宗介さんの弟で、航平と言います」
弟?
宗介に弟はいなかったはずだが、この男はだいぶ若い。
「僕は宗介さんが死んだ3年後に産まれました。
陽子さんが知らないのも無理はありません」
私の気持ちが顔に出ていたのか、宗介の弟と名乗るその男は言葉を付け足していく。
確かに、宗介が死んだ後、私は藤村家との交流を避けた。
何かと思い出してしまうから。
丁度この男が産まれただろう年に、私は地元を出て行った。
ここには、宗介との思い出が多すぎるから。
最初のコメントを投稿しよう!