episode2

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「初めまして。 でも、どうして私を知ってるんですか?」 まだ頭の中がまとまらない。 「母に頼まれたんです。 今日僕も20歳の誕生日なんですが、これを託されたんです」 その手には、灰色の箱。 長いゴツゴツとした指が、その箱を開ける。 現れたのは、シンプルな指輪だった。 何も彫られておらず、ダイヤ等の飾り付けもない。 「これを兄は、取りに行く途中に交通事故にあってしまったそうです」 私はそれを手に取る。 私の手の中で光る指輪は、ありがとうと言ってる気がした。 そういえばあの頃、放課後に宗介と遊ぶことがなくなっていた。 宗介は『用事がある』とか言ってたけど、これのためだったんだ。 「貴方にあげる予定だったんだと思います。 あの手紙が机に残ってたみたいなので」 私は最初に貰った手紙をポケットから出した。 懐かしい宗介の文字だ。 宗介の気持ちが嬉しすぎて、口元が自然と上がる。 「これを渡せてよかった。 兄もきっと天国で微笑んでますよ」 そう言って若い男は微笑んだ。 そして、やっとわかった。 この男は、笑うと宗介そっくりだ。 宗介に似てる所がある弟を、宗介の母である政子さんは送り込んだんだ。 少しでも、宗介に渡してもらったと思えるように。
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