発端

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「付きまとわれているって一体誰に! 誰かに相談はしてるの?」 萌子は前のめりになって聞く。 中学生の明莉が、ストーカー被害だなんて、黙ってはいられない。 ストーカーされる不愉快さや恐怖は、萌子にはイヤというほどわかる。 肩を掴んでグラグラ揺する萌子に、 「……すみません、ちょっと痛いです」 明莉は遠慮がちに訴えた。 「あ、ごめん」 手を離すと明莉はしばらく肩をさすっていたが、その横顔からは先ほど垣間みえた、大人びた様子は消えてしまっている。 しゃべり方も控えめな敬語に戻っている。 さっきの明莉は、一体何だったのだろう。 首を傾げる萌子に、明莉はニコリと微笑んで、 「私にはちゃんと保護者がいますから」 そしてふたりの男を紹介してくれた。 木津(きづ)蒼生(そうせい)。『Revive』のオーナーで明莉の叔父だという男と、 (みなみ)紅哉(こうや)、蒼生の幼なじみだ。
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