紅哉が教えてくれたこと

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紅哉が教えてくれたこと

そのニュースは半年前、まさに青天の霹靂のように、蒼生の上に落とされた。 いつも通り昼過ぎまで寝ていた蒼生は、 「ねぇ、このニュース。蒼生と同じ名字だけど、何か関係があるんじゃないの」 夕べのお共のヒワに肩を揺すられる。 「ん、何……」 「だからニュース見てってば!」 寝ぼけ眼の蒼生にテレビが教えたのは、 「昨夜未明、河川敷で遺体となって発見された女性は、警察関係者の妻、市内在住の木津(きづ)(よみ)さん32歳とわかりました。 木津さんとは夕べから連絡が取れていない状態で、警察は木津さんが何らかの事件に巻き込まれた可能性があるとみて、調べを進めています」 そして実家へ駆けつけた蒼生は、 「……蒼生」 制服を着たままの明莉が、ポツンとひとり座っているのを見た。 体に見合わぬ大きなカバンを胸に抱えている。 「明莉!」 声をかけた蒼生を、明莉は縋るように見て、 「私、修学旅行だったの」 震える声で教えた。 「おとといから京都に行っていたの」 それが事件の原因だとでも考えているかのように、まるで言い訳するような口ぶりで明莉は言う。 「私、先生に家に帰るように言われて、さっき――」 蒼生は明莉の肩に手を置いて、とりあえず明莉を止める。 「藍一郎(あいいちろう)はどこだ?」 尋ねれば、明莉はふるふると首を振った。 木津(きづ)藍一郎(あいいちろう)は、蒼生の兄であり明莉の父親。 そしてくだんのニュースでいう警察関係者。 藍一郎は刑事だ。 いつも忙しい藍一郎だが、こんな時にも明莉の側にいてやらないのかと、 「待ってろ。連絡する」 蒼生は自分の電話を取り出して、そこで気がついた。 おびただしい数の着信履歴が入っている。 「……」 藍一郎に明莉、そしてスクロールした一番下には、 「詠……」
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