半田真黄子

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ヒワが呼んだ警察官を、マキは、ただの痴話ゲンカだと言って帰してしまった。 フサエは心配そうにマキを見つめ、ヒワは蒼生を遠巻きにしている。 ヒワは、詠が死んだ夜、マキや蒼生と一緒にいた。 あの夜からマキの様子がおかしいことに、ヒワは勘づいている。 「詠の方から、実白に近づいた?」 蒼生は信じがたいといった眼差しでマキを見る。 マキは、 「ええ、私が彼の住んでいる住所を詠さんに教えたの。それが詠さんの望みだったから。ちょうど半年くらい前……」 「じゃあ詠は実白に会ったのか!」 実白が詠を殺したのか、と続けようとする蒼生に、マキは首を振る。 「……わからない」 マキは眉間に皺を刻みながら、 「確かに私は、実白のことを詠さんに教えた。でも詠さんが、なぜあいつを探していたのか、そしてあの夜、本当に実白に会ったのかも私は知らない。詠さんは私に何も話してくれなかった……」 マキは涙を堪えながら蒼生を見た。 「私は詠さんに何も聞けなかったの。でもだから代わりに実白に聞いたわ。あなたと詠さんはどんな関係なのって」 「!」 「詠さんの名前を聞いて、実白は心底驚いた顔をしていた。本当にその瞬間まで、詠さんの存在を忘れていたかのように。詠さんとあの男の間に何があるのかは知らないけれど、でもあいつにとって詠さんは、16年もたった、とっくに過去の人よ」 「なぜ、そう言い切れる――」 とっさに明莉のことを出そうとして口をつぐみ、蒼生は聞き返す。 実白がもしも明莉の存在を知っていれば、けして過去の存在にはならない。 マキは、 「あいつは――」 あからさまに不快な顔をして横を向いた。 「心底、人間のクズだわ。だから今さら詠さんに興味を持つようには思えなかった。あの時は」
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