338人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
Beginning line
……目覚めるといつも泣いてる。
泣いてる自覚はないけど……
頬を涙が伝っているから
泣いたんだってわかる………
でも
どんな夢だったのか
思い出せない。
……起きたら辛くて
胸がキュッと音をたてる……けど
諦める………。
考えない………。
……思い出さない
ようにしてる。
俺はベッドから起き上がり、軽く水で頭を濡らす。ついでに顔も洗って……タオルでガシガシ拭いた……。
都内の私立大学に進学して3年。
……一人暮らしを始めた。
高校生の時よりも背が10センチ伸び
大人っぽくなった……つもりでいる。
『令……』
歯を磨いていると後ろから抱きしめられる。
俺が……一人暮らしを始めたら
………まるで自分家のように毎日泊まっている瑠衣。
『離せよ』
俺は冷めた顔をして瑠衣を見つめる。
『嫌』
俺の首筋に顔を埋める瑠衣。
………瑠衣ともあまり身長の差が無くなった。俺は抱きしめる瑠衣からスッと視線を反らし……歯を磨き続ける。
最初のコメントを投稿しよう!