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once again (itsuki side)
5年ぶりに触れた花の身体……
変わらない。何も。
柔らかくて甘くて。甘くて。
悩ましげに揺れる瞳を見つめながら……花の上に覆い被さる。
『い、つき……待っ』
花の両手を………俺の両手で受け止めて指先を絡めながら、吸い込まれるように唇を重ねた。クチュ……とゆう濡れた音が部屋中に響く。そのまま舌先を花の濡れた舌先に絡めて……甘く吸って、角度を変えては吸った。
我慢………してたのに。
花に近寄らないように気を付けていたのに。
………聞いていたよ
この大学に入学したこと。
愛菜や早希……十耶と春からもそれとなく、ずっと連絡が来てた。俺がバイトしていたレストランで花がバイトを始めた事も。
全部聞いた………
………みんな
俺と別れたあとの花は変だって心配してた………。蔵本と何かがあったんだって………春が打ち明けてくれた。けど。
あの時の俺は……花と話すのが怖かった。
……また花の口から別れを
別れの言葉を聞くのが辛かったから。
だからもう日本を離れたんだ。
逃げたんだ。俺。弱虫だったのかもしれない。
ちょうどそのタイミングで母さんが
………死んで
本格的にベナンから総取締役の座を狙われて………争った。何の知識もなかった俺を這い上がらせてくれたのは
やっぱり………花と蔵本が
気になったから………。
………………悔しかったから。
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