弱肉強食

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 人がいすぎるとうるさい。  だから、あまり人のいない場所を選んでそこで泣いた。  おそらく傍目には、三、四歳の子供が泣いているように見えるだろう。  いかにも幼く頼りなげな存在が泣いている。それだけでたいていの人間は俺に近寄ってくる。  だから餌には事欠かない。その能力を誇って生きてきた。  その力を今日も発揮した。  どこからどう見ても人間の子供そのものになり、道端で泣きじゃくる。そうしたら案の定餌が釣られて寄って来た。  優しげな声で俺に話しかけてくる。無防備に側へ寄って来る。  射程圏内に入ったら捕獲完了。その筈だったのに、動けなくなったのは俺の方だった。 「なんだ、人間の子供じゃないのか。一応人間のフリをして暮らしてる以上、泣いてる子供がいるならあやそうと思ったけど、お前は『こっち側』か。 でもラッキー。俺、人間は不味くて好きじゃないから、違う餌を見つけられてよかった。…お前が美味いとなおいいな」  俺が人間に紛れて生活している以上、他にも同類はいて当然。  そいつに出くわすとは運が悪かった。  この世の中は弱肉強食。今回は、俺が食われて終わる番。 弱肉強食…完
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