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明日、世界よ終われ!
「何もかも明日で終わり」
そう告げられた時の感覚を、私は一生忘れない。
そうだ。そんな昔の話をしよう。もうカビの生えかけた話だ。
あれは私が小学生だった頃。ある朝起きたら、教室がある話題で一色に染まっていた。
「おい知っているか。世界が終わるって話!」
一九九九年七の月。空から恐怖の大王が降ってきて、世界を破滅へと導くだろう。
その大予言を耳にした時、私の胸に去来したのは恐怖でも、悲しみでも、好奇心や高揚なんてものでもなく。
──ああ、今年の夏で終わりなんだ。
必死に引いていた綱をふと緩めるような、ぬるくて心地よい安堵感だった。
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