ゾンビのトマト

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「だからオレオレ詐欺なんて勘違いされるんだ!これでわかったでしょう?おばあちゃんが保釈金なんて変な事言うから…皆さん勘違いするの!」 交通事故に会った不法就労のベトナム青年が、何故か介護施設の妖怪津留崎としゑさんの前のお家に通っていた事で、施設に迄事情聴取する為の人が来た。としゑさんは、令和の今年4つの年号を生き抜いた妖怪で、今は特老、特別老後施設の主的存在。厄介な事に頭はまだ若者だった。 「いやぁ、逆に関係無い事がわかって良かったです。何せ息子さんの奥さんが認知症だそうで…証言した事を忘れてしまっているものですから。おばあちゃんにゾンビのトマトを見せたいと、ひ孫さん?に頼まれたの本当でしょう。大丈夫です一命はとりとめましたから、安心して下さい。それにしても彼も運がない、住んでいた場所が隣の町工場から貰い火とはね…」 一命はとりとめたものの、強制送還は免れ無い。最近のとしゑさんは、御年一世紀を越えスマホデビュー。ひ孫さんのスパルタ式にも耐え、ゆーちゅうばーなるものを目指している。 「その人もう日本に戻って来れないんですか?何か長男の嫁の方が迷惑かけたみたいでしょう?」 送還されると言う事はそうなんだろうけど…としゑさんは聞かずに居られなかった。 「そうなるでしょうね…残念ですけど。彼の場合は、頑張って見ますが難しいと思います。」 何故かそう言って考え込んでいる。ひ孫にして見れば、認知症の母親を保護してくれたのが彼だったからで…曾祖母としても帰国の前にちゃんと逢っておきたい。元々の自宅だった場所は、荒川を越えた昔ながらの町工場が並ぶ場所。猫の額程の家と小さな庭は賃貸マンションの駐車場となる予定。土地はもう手放していた。 「あっあのミニトマト、本当に切った枝挿しただけ何ですね?彼に見せてもらったけど…なんだか本当にゾンビみたいですねー。」 何となく話が重くなりそうだから、話を変えようと思ってか?インスタなる話を若い区役所の生活科のお兄ちゃんが、話始めた。
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