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甘えん坊で甘え上手なこの人は、時々とてつもなくかっこいい。
この人にはいつまでたっても敵わない。
だからいつまでもこの人に夢中でいられる。
毎日毎日好きになる。
何年経っても好きなまま。
休みの朝だけ見られる寝呆けた顔も、
たまにしか見せない爆笑してる顔も、
仕事の時の凛々しい顔も、
家にいる時のリラックスした顔も、
抱く時の蕩けるようで泣きそうな顔も、
拗ねた顔も。
何かと誰かと比べることなんて出来ないほど俺の全てがあなたに向かう。
俺の中のあらゆる感情を言葉にして表すことなんて出来ないと思う。
だけど伝えたい。
それを出来る限り近い言葉で伝えるなら、これしかないんだろうな。
「遥さん…愛してます」
鼻声で告げる間抜けな愛の言葉。
髪に埋められた鼻が地肌を擽るように動いた。
「知ってる」
照れた声で返されたのは同じ言葉じゃなかったけど、それでいい。
身体を繋げる時、この人は自分で気付かないうちに零すように愛の言葉を何度も何度も口にしてくれるから。
それと同じくらい俺の名前を呼びながら。
「明日、早く帰ろ」
「え?」
「仲良し……したい」
「はい。俺もです」
「ゴム、まだあったっけ?」
「………たぶん」
いつもの引き出しの中身を思い出し二人ともが止まり、そして噴き出した。
「なぁ」
「はい?」
「……ちゅーして」
「はい」
笑いながらしたキスは日本酒の香りがした。
「勃たすなよ」
「………我慢します」
「良い子に出来たら帰ってご褒美やるから」
「どんなご褒美ですか?」
「お前の……好きなやつ」
「え!あ…」
「……………ご褒美なしな」
噴き出すように笑いながら言った遥さんに抱かれ、そのまま二人して寝落ちした。
翌日早朝も早朝に帰る俺達を、眠そうな両親に見送られ帰った部屋で。
ご褒美なしだと言われた俺はご褒美をたんまりと貰った。
俺だけが知る、もう無理だと泣きながらも昇り詰める遥さんは何よりのご褒美だった。
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