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甘いのも悪くない。
事務所のドアロックを解除して中に入ると、いつもとは違う甘い匂いにあぁ、そんな時期かと思う私は女性として終わっているのかもしれない。
「おはよう、響子さん」
「おはようございます」
チョコレートなんかよりこの二人の方がもっとずっと甘い。
昼休みにデパート行かなきゃな、とパソコンを立ち上げながら一日の流れを組み立てている私の前で、真由ちゃんから貰った箱をさっそく開ける遥くん。を、そわそわしながら見守る侑司くん。
二人の仲はもう揺るがないものだと思うのに、侑司くんはいつまでたっても付き合いたてのころのように見える時がある。
それだけ遥くんが好きなのだろうけど、私なら張り手してるな。
男なら堂々と、常に自信を持っていて欲しい。
お前なんかいなくても、というくらいのスタンスでいい。
現に、次郎ちゃんは仕事が多忙な時は連絡ひとつ寄越さない。
生きてるか死んでるかすらわからないほど放ったらかしにされるのを息子の紘都は不満に思っているみたいだけど、私はそれでいい。
マメじゃない。
だからたまに気にしてみたり、連絡してみようかとLINEの画面を眺めてみたりするのだ。
仕事が終わった次郎ちゃんはそれはもうこちらが照れてしまうほど私達を甘やかす。
このギャップと仕事に打ち込む男らしさ。
これにやられてる。
遥くんは侑司くんのどこにこんなに長く惚れているんだろう。
聞いたことなかったな、とふと思うと、途端に知りたくなった。
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