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身体が痛い。
腰も痛いが、股関節が……
あのバカ、散々好き勝手に転がしやがって。
目を開けると、スパダリではなくホワイトタイガーのガラス玉のような青と目があった。
「ご主人さまは風呂か?」
答えもしないぬいぐるみに聞いた声はえらく掠れていた。
そういや、治から何もなかったな。
いや、別に何もなくていいんだが。
来る来ると思ってた分拍子抜けな感じだ。
ぬいぐるみを相手にゴロゴロしながら身体の痛みと闘っていると、寝室のドアが開いた。
「そいつとイチャつく元気があるなら大丈夫そうだな。もう一回しとくか?」
「殺す気か!おれは死ななくてもケツが死ぬわ!」
くくっと笑った治に肩に担ぎ上げられ風呂場に連れて行かれた。
おいコラ、おれは米俵か。
もうちょっと色気のある抱え方をしろ。
脱衣所で降ろされ、ボサボサの髪を撫で上げられ、キスをされた。
それでまあいっかと気が済む自分に若干イラッとしたのは死んでも言ってやらない。
「湯溜めたから入ってこい。洗えないなら洗ってやるが」
「丁重にお断り」
「パンでいいか?昨日買ってきたのを焼き直せば食えるぞ」
「あぁ。コーヒー頼む」
ん、と笑った治が触れるだけのキスをして風呂場を出て行く。
かけ湯をして少し熱めの湯に身体を沈めると声が出た。
浴槽に手を投げ出す。と、カチンと音がした。
見てみるとそこには。
派手に水音を立て湯船から出、ずぶ濡れの素っ裸のまま治を呼びながらリビングに向かった。
「治!」
「お前………床がびしょびしょじゃないか」
「床はどうでもいい!これ!」
左手を突き出す。
治はニヤリと笑って自分の左手を俺に見せた。
治の左薬指に光るのはおれにつけられたのと同じ指輪。
「何だよ、これ!」
「虫除けだ。気にするな」
ソファに座り優雅にコーヒーを啜るスパダリ。
「こんな高価な虫除けがあるか!」
「じゃあ付けるのやめとくか?」
答えはわかってる。
そう言いたげな顔でニヤリとわらう治。
素っ裸で仁王立ちのおれ。
「せ、っかくだから、つけといてやる…」
くくっと笑う声を睨み返し、風呂場に戻る。
冷えた身体を湯船に沈めながら左手を眺めた。
緩くもきつくもない指輪はまるであいつのようだ。
そんな気はまるでないとみせかけてしっかりと束縛してくる。
お前はおれのものだと。
「それが案外悪くねぇもんな…」
ペアリングが欲しいと強請られた昔、彼女に買ってやっただけでおれはつけなかった。
相手が違うとこうも変わるものか。
いや、違う。
ステイタスのように扱われてると分かっていたからか。
治はそんなもの関係なしにおれを思う。
嘘も裏表もなく。
「おれも大概惚れてんなぁ…」
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