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甘いおねだり。
「これ…俺が履くの」
「はい!」
満面の笑顔の侑司が頷く。
高級チョコレートと一緒に渡された小さな袋を開け、中から出てきたのは小さな布。
黒い紐のような布を広げると、何やら不思議な形。
何これ?と首を傾げる俺に、侑司が照れながら下着ですと言った。
パンツ?
これが?
布が少なすぎてあらゆるものがはみ出しそうだけど。
「これ……収まんの?」
「たぶん?」
いつだかの裸エプロンよりはマシか…
「今……履く?」
「いえ!」
キッパリと言い切る侑司が首を振る。
「それは明日履いて下さい!」
「明日って、お前仕事だぞ?」
「はい!だからです!」
ソファから勢い良く立ち上がった侑司が握り拳を作る。
「あのカッチリした細身のスーツの下で、こんなエッチな下着を履いてる遥さん!!が、これ以上ないほど唆るんです!!」
「お前は相変わらず変態度が突き抜けてんな……」
「大丈夫です、遥さんにだけですから!」
自信満々に言う侑司。
「お前、こういうの興味ないと思ってたけど」
「遥さんがしてくれるならなんでも興味あります!」
「へぇ…他には?」
「え」
え、の口の形のまま侑司が固まる。
この際だ、聞くだけ聞いてやろう。
ニヤリと笑う俺を見て、侑司の頬が微かに赤くなった。
「他に何かやってみたいこととかあんの?」
「そりゃあ………」
「やるかどうかは別にして、聞くだけ聞いてみたい。言って」
それなら!と未だ立ったままの侑司が口を開く。
「猫耳と尻尾つけてにゃあしか言えない遥さんとエッチしたいとか、玩具の手錠で自由を奪った遥さんとエッチしたいとか、何時間も挿れたままのスローセックスとか、風呂場でローションまみれのままエッチしたいとか、あ、映画館で催してそのままトイレで声を殺した遥さんとエッチしたいとか」
「わかったわかった!」
まだ言い足りない。
それがありありとわかる顔をした侑司を止め、ため息を吐く。
「お前、セックスばっかじゃん」
「エッチに関しては引かれるかもとかなり押さえてきてるんで」
「あぁ、そう……」
恋人としては叶えてやるべきなのか。
猫耳と尻尾をつけたまま侑司に貫かれる自分を想像して寒気がした。
「どれが一番してみたい?」
痛み始めた頭を抱えつつ聞くと、侑司がさっきの黒い紐のようなパンツを指先で持ち上げる。
「どれもですけど、今はこの下着を一日履いて恥ずかしくなった遥さんとなだれ込みエッチです!」
「わかったよ……明日履くよ」
明日一日中スースーする尻が気になるんだろうな。
そんな俺を見て欲情する侑司が簡単に思い浮かんだ。
「明日履くから、今日先にご褒美ちょーだい」
「はい、何でも!」
隣に座りニコッと笑う侑司の膝の上に乗り、首に手を回す。
「抱っことちゅー」
「はい、幾らでも」
ちゅ、と音を立てるちゅーを角度を変えながら何度もする。
どちらからともなく閉じていた口が開き誘い誘われ舌を絡める。
溢れるほどになった唾液を飲み込み長いちゅーが終わる。
侑司の長い指が俺の唇を拭い、濡れた指を侑司の舌が舐める。
「………1個ずつな」
「え?」
「お前のやりたいヤツ、1個ずつなら……ヤッてもいいよ」
「遥さんっ」
痛いくらいに抱き締められた腕の中。
この腕の中なら、侑司となら、恥ずかしくてもいいと思えてしまう。
この7年で俺もそこそこの変態になったような気がする……
「とりあえずホワイトデー、楽しみにしといて」
「はい」
嬉しそうに笑う侑司からのちゅーを受けながら、頭の中で猫耳と手錠がぐるぐると回り始めていた__________
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