俺の気持ちをわかってください。

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俺の気持ちをわかってください。

毎年のように朝のニュースで繰り返される『猛暑日』が近づいたある日の休日。 俺と遥さんは買い物に出掛けた。 面倒くさがる遥さんを夏物を新調しようと部屋から連れ出した。 私服の遥さんは30歳も半ばに差し掛かるというのに未だ見た目は下手をすれば学生さんだ。 着心地・着やすさ・手軽さ。 これが遥さんの服を選ぶ時の基準らしい。 せっかくの見た目の良さが全くいかされていない。 誕生日に拘らず何かにつけて服をプレゼントしてきて、それを着てくれているってことはお洒落が嫌いな訳ではない。 実際スーツの遥さんはとてもお洒落だ。 選ぶスーツも合わせる靴やネクタイも拘っているように見える。 これが私服となると途端に無難な物に走るのがいただけない。 今日は俺に選ばせてください。 そう言った俺を怪しげに見上げた遥さん。 「お前が選ぶと派手なのしか選ばなそう」 「今日着てるのも俺がプレゼントした服ですよ」 「あ、そっか」 「洋服をプレゼントする意味って知ってます?」 俺の良く行くセレクトショップに入り、またしても無難な薄いブルーのTシャツを手に取る遥さんに尋ねる。 「意味なんてあんの?」 遥さんの耳に口を寄せた。 「俺が脱がせたい」 遥さんの口からひゅっと空気を吸う音が聞こえ、飛び退くように俺から距離をとった遥さんの耳は赤く染まっていた。 「お、まえ、わざとだろっ」 「なんの事ですか」 白を切る俺の足が遥さんに踏まれた。 「だいたいお前」 赤くなった耳を隠すように擦りながら遥さんの拗ねた声が続く。 「プレゼントした服だろうが、そうじゃなかろうが、いっつも脱がしてんじゃんか」 それもそうか。 脱がせる、セックスの時のその行為はそれからの行為をより燃え上がらせてくれる大事なプロセスだ。 全部脱がせるのも、半端に脱がせるのも、足首に引っかかっただけなのも、どれもいい。 未だに照れて自分で脱ぐと駄々を捏ねる遥さんを宥めながら、また時には中途半端に着せたまま行為に没頭するのも遥さんが可愛すぎるため致し方ないのだ。
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