19人が本棚に入れています
本棚に追加
3ヶ月前
ドクドクと、喉に詰まった汚泥を洗い流すかのようにしてビールを流し込んだ。
仕事帰りの深夜。
家の近くのコンビニの、入口脇に設けられた喫煙コーナーでのことだ。
その日、薙野は部下の失敗を押し付けられた。
その部下は上司のお気に入りであって、仕事はできるのだが、それ以上におべんちゃらのできる、実に調子のいい男だった。
それが取引先の社長を怒らせてしまい、どうしてだか、それは薙野の報告ミスのせいということにされてしまった。
部下が上司に嘘の報告をしたのだろうとは察しがついた。
事態を知った薙野はすぐに上司に抗議したが、上司はまるで部下の言うことだけを信じて、薙野の言うことにはまったく取り合ってくれなかった。
いや、実は上司も部下のミスだと知っていたのかもしれない。
ただ、薙野よりも部下が可愛かっただけと、そういう話かもしれない。
結局のところ、
「例えアイツのミスだったとしても、それをしっかり指示していないオマエが責任を取る話なんだよ、これはッ」
と、一喝されて話は終わったのである。
最初のコメントを投稿しよう!