3ヶ月前

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3ヶ月前

ドクドクと、喉に詰まった汚泥を洗い流すかのようにしてビールを流し込んだ。 仕事帰りの深夜。 家の近くのコンビニの、入口脇に設けられた喫煙コーナーでのことだ。 その日、薙野は部下の失敗を押し付けられた。 その部下は上司のお気に入りであって、仕事はできるのだが、それ以上におべんちゃらのできる、実に調子のいい男だった。 それが取引先の社長を怒らせてしまい、どうしてだか、それは薙野の報告ミスのせいということにされてしまった。 部下が上司に嘘の報告をしたのだろうとは察しがついた。 事態を知った薙野はすぐに上司に抗議したが、上司はまるで部下の言うことだけを信じて、薙野の言うことにはまったく取り合ってくれなかった。 いや、実は上司も部下のミスだと知っていたのかもしれない。 ただ、薙野よりも部下が可愛かっただけと、そういう話かもしれない。 結局のところ、 「例えアイツのミスだったとしても、それをしっかり指示していないオマエが責任を取る話なんだよ、これはッ」 と、一喝されて話は終わったのである。
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