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しばらくして、結奈は頭をあげた。
「玲子さん。あなたはさっき、さっきあなたが私の糸はまだ、結ばれてないって言ってましたよね? つまり誠は私の運命の相手じゃなかったってことですよね?」
玲子は頷く。
「たしかにそうね。だけど、運命の相手と結ばれることが、必ずしも幸せに繋がるわけではないのよ?」
「どうしてですか? 運命の相手なのに、不幸になってしまうの?」
「そうは言わないわ。でも赤い糸の相手が、一回り以上、年が離れているかもしれないし、同性かもしれないこともあるのよ」
玲子の言葉に、結奈は思わず口をぽかんとあける。
「それにね。世の中の夫婦、すべてが運命の赤い糸で結ばれているわけでもないの。でも幸せを感じれば、人はそれで満足する」
玲子の言うことに、結奈は納得する。しかしそれでも彼女は思った。
知りたい。幸せになりたい、と。
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