1/1
前へ
/21ページ
次へ

 しばらくして、結奈は頭をあげた。 「玲子さん。あなたはさっき、さっきあなたが私の糸はまだ、結ばれてないって言ってましたよね? つまり誠は私の運命の相手じゃなかったってことですよね?」  玲子は頷く。 「たしかにそうね。だけど、運命の相手と結ばれることが、必ずしも幸せに繋がるわけではないのよ?」 「どうしてですか? 運命の相手なのに、不幸になってしまうの?」 「そうは言わないわ。でも赤い糸の相手が、一回り以上、年が離れているかもしれないし、同性かもしれないこともあるのよ」  玲子の言葉に、結奈は思わず口をぽかんとあける。 「それにね。世の中の夫婦、すべてが運命の赤い糸で結ばれているわけでもないの。でも幸せを感じれば、人はそれで満足する」  玲子の言うことに、結奈は納得する。しかしそれでも彼女は思った。  知りたい。幸せになりたい、と。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加