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「決意は固いようね」  結奈の表情を見て、玲子は困ったように笑う。 「あなたの相手は、この鏡を使えば見れるわ」  とんっと玲子は白い指先で、目の前に伏せ置いてある手鏡をつつく。 「だけど、これで見たが最後。あなたはこれに写った相手と、絶対に結ばれることになる」 「その人たちは、幸せになったんですか?」 「結ばれたということまでしか、言えないわ。お客のプライベートなことですもの」  たしかに。と結奈は頷いた。 「それでも、あなたはどんな結末でも、受け入れる覚悟があるかしら?」 「……」  玲子の鋭い目に、結奈は怯む。しかし、ごくりと唾を飲み込むと、玲子を見つめ返した。 「甘えだってわかってます。それでも私は、もう傷つきたくない」  じっと結奈の顔を見つめる玲子。やがて彼女はため息をつくと、傍らに置いていた煙草盆を引き寄せ、カンッと煙管を叩きつけてカスを落とす。 「そこまで言うなら見なさい。ただし、その後どうなろうと、わたしは責任は取らないわよ」 「ありがとうございます!」  玲子から差し出された手鏡を、結奈は嬉々として受け取る。
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