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「はぁ」  あれから結奈は人々の憐れみの視線に耐えきれず、だからといってすぐに帰る気にもなれなかったため、町中をぶらついていた。 (どうして、こんなことになっちゃったんだろう。いつから誠は、あの人と付き合っていたのかな)  繁華街を一人歩いている結奈と、仲良く手をつないで笑い合う恋人たちがすれ違う。去っていく彼らの背中を、結奈は羨ましそうに見つめる。 (本当だったら、私が誠とああやって歩いていたはずなのにな……) 「はぁ」  結奈は再びため息をついた。  その時、ふわっとお線香のような、甘くてでも清々しい香りが漂ってきた。 「いい香り。でも、どこから?」  結奈が立ち止まってキョロキョロと辺りを見回すと、ひとつの看板が目についた。 『運命の赤い糸を信じますか?』  白い看板には、赤い字でそう書かれていた。
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