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看板の脇には、白い布がかけられらテーブルと一脚の椅子。シャッターが閉まった店側に座っているのは、絹のような美しい黒髪を後ろに流し、口に長い煙管を咥えた黒いロングワンピースを着た女性。
結奈の視線に気付いたのか、女性の目が結奈に向けられる。
「そんなところで見てないで、こちらにいらっしゃいな」
彼女は微笑みながら、結奈に手招きする。結奈はそれに引かれるように歩み寄った。
「あの……」
「まぁまぁ。まずは座りなさい」
女性に言われて、結奈は大人しく座る。
「わたしは玲子。占い師よ。あなたが立ち止まったのは、その看板に引かれてかしら?」
玲子と名乗った彼女は、煙管でついっと看板を指す。
「……本当に、運命の赤い糸なんて、存在するんですか? あれは迷信でしょう?」
「あら? ちゃーんと実在するわよ。だから伝承があるの」
そう言われても、結奈は信じられなかった。
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