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三園結奈はわくわくとした気分で、町を歩いていた。
世間はクリスマス。街はイルミネーションで輝き、幸せオーラが満ち溢れている。
(大事な話ってなんだろう。お互い、社会人一年目でなかなか会えないから、同棲しようとかかな!)
結奈の恋人、伊村誠とは大学一年のときに出会い、それから五年もの間、交際を続けている。しかし最近では、互いに時間がとれず、すれ違いの日々を送っていた。
しかしようやく、誠からクリスマスのときに会いたいと連絡が入り、結奈は胸を躍らせる。
結奈が待ち合わせの駅前広場に行くと、腕時計で時間を気にしながら、待っている恋人を見つけた。
「誠! 待たせちゃってごめんね」
「あ、あぁ。大丈夫。まだ、時間前だし」
結奈に微笑む誠だが、どことなくぎこちなさを結奈は感じた。
「会うの、久々だね! 今日はどこに行くの?」
「あのさ、結奈。俺と別れてくれ」
「……え?」
突然言われた言葉に、結奈の思考が停止する。
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