もえぞこない

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 保健室で横になっていると、クラス委員長の女の子がやってきた。おさげに眼鏡でみるからにまじめでおとなしそうな子。委員長もむりやりおしつけられていた。 「あの、ヤマカミさん体調はどう……? 先生があまりにもしんどかったら帰って良いって言ってたよ」 「そっか、ありがとう。今日はちょっと授業受けられそうにないから帰るね。先生に伝えてもらってもいい?」  だんだんと赤いやつはただの人型ではなく、私と同じくらいの身長の髪の長い女の形へと変わってきていた。そういえば前の時は最終的に鶏になっていたな。  ズキッと頭が痛み左手で押さえると、大丈夫と委員長が顔を覗き込んできた。だから、左はだめだって。どろどろどろ。髪の毛の形をしているところには今は真っ黒な水泳帽子が見える。お母さんが油性ペンで書いてくれた名前のほとんどが熔けていた。顔をしかめるが委員長は続ける。 「オオカワさん達と喧嘩でもしたの? あんなに仲良かったのに、昨日から全然話してるの見ないから……。もし何かあって教室居づらいとかだったら、私でよければ相談にのるからね」  どうやらイジメによる精神的なものだと思われているらしい。  精神的は精神的だけどそれじゃない。そもそもオオカワ達の入れ替わり総スカンはもう三度目だからいい加減こっちが愛想つかしたって感じだし。まぁよくある話だ。  それに――昨日もう燃やした。  彼女の気持ちを無下にもできず、とりあえず有難うとだけ言い保険医に帰ることを伝えて学校を後にした。
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