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その後だ、赤いやつを初めて見たのは。
最初は鶏だった。私が成仏させたかわいそうな鶏達。
でも出てきたってことは燃えそこなったんだ。じいちゃんが昨日言っていた通り体は燃えても中が残ってしまった。
あれは消えたけど、でも今回の赤いやつは、このお母さんはこんなにはっきりとしてしまったらもう消えない。そう思った。
あの日から、お父さんは私をおそろしいものを見るような目つきになって、じいちゃんとしかまともに会話をしなくなった。お母さんとはどう接したらいいか分からず、見ないようにすることにした。
そのつけが今、回ってきたのかもしれない。燃やすことで浄化されると思っていたけど、それは間違いだったみたいだ。
ただ忘れるために燃やすんだろう。だから忘れたいのに忘れられないから、出たんだ。
赤いやつは成績表や書道コンクールの賞状など、少しずつドロドロに溶けた私の思い出を落としながら優しいお母さんの表情でいびつに微笑んだ。
――しょうがない、忘れられないから、しょうがないよね。
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