君に恋している

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「そういえばドニの奴、今度は石鹸を作ったとかで、シリルと一緒に風呂に入ると言っていたぞ」  止めなくて良かったのかと聞かれて疑問に思う。  獣人は風呂に入るのはコミュニケーションの一つだ。特に気にすることではない。 「何故だ? ドニは変な男だがシリルの嫌がることはしないだろう」 「まぁ、そうだけどさ。いいのか、アンタが」 「何が言いたいんだ」 「……鈍感」  ロシェの言いたいことに気がつき、そういうことかと掌を打つ。  どうやらファブリスがシリルに好意を寄せいていると勘違いをしているようで、確かに好きだがそういう意味で好きな雄は目の前にいる。 「君が言う好きというのはこういうことか」  ぺろりと鼻先にキスをする。 「なっ」 「ん?」  今、起きたことに驚いて目を見開いたままのロシェに、 「鼻先にキスをするのは求愛。交尾の仕方は一緒だろう? 無論、我々だってキスをする」  逃げ道をふさぐように木の幹に手を置く。 「俺はシリルが大切だ。だが、そういう意味で好きなのは君だ」  好意に対して慣れていない彼は、いちいち反応が可愛い。  今も顔を真っ赤にしながらファブリスを見ていた。 「じょ、冗談だよな?」 「いいや、本気だ」 「ふざけんな、バカ」  見つめ返したら視線を逸らされ、ファブリスはロシェの頬へと触れた。 「ロシェ、こっちを見て」 「嫌だ。なんで見なくちゃいけないんだよ」 「俺が見たいのだから。それが好きということだ」  額をくっつけ、そして彼の唇へとキスをする。 「んぁっ」  目元まで真っ赤にそまり、それが余計にファブリスを煽る。 「ロシェ」 「や、ふぁ」  逃げようとする唇に、離さないとキスをし、舌を絡め彼の腰を抱き寄せる。
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