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<ファブリス>
成人の儀で王都へと向かう日が近づくにつれ、ロシェに会えない日々を想うと辛くなる。
そこまでファブリスの心は、彼に対する想いが占めている。
初めてロシェに触れ、そこから欲が収まらなくなった。今までなら剣を振るえばどうにか落ち着いていた。だが、今では触れて感じないと物足りなさを感じてしまう。
ロシェが欲しい。身も心も全部。
甘えるなんて、今までしたことがない。子供のような真似をしてでも彼を手に入れたかったのだ。
それを咥えた時、流石に尻尾が逆立ってしまった。食いちぎられると思ってしまったからだ。
だが、よくよく考えてみれば人の子は獣人とは違う。鋭い牙は無いのだから。
しかもそれがすごく気持ちが良い。
「ふ、人の子はいいな。こんなに俺のモノを気持ち良くしてくれるのだから」
じゅるじゅると吸い上げられ、その中でイってしまいたいが、流石にあれをロシェの口へと放つつもりはない。
もう限界だ。
「ロシェ、もう、出るから」
だが咥えたまま、更に強く吸われてしまう。
「くっ、駄目だ」
余裕のない姿に、ロシェはどこか楽しそうで。
そういうことかと、後頭部を抑え込みさらに深く押し込むと、そこへ欲を放った。
「うっ」
流石にそうくるとは思わなかったのだろう。口を押えながら目をつぶる。
「すまん、飲んでしまったか」
「平気だ。ドニの薬はこれより不味い」
「はは、そうか」
水面を叩く音と共に、耳元に甘い吐息がかかる。
向き合いながら抱き合うかたちで湯船につかっているのだが、ロシェの中にはファブリスのモノが入り込んでいた。
「あ、あぁっ……」
「すごくいい」
顔がぐしゃりと歪む。
泣いているのかと頬を掌で包み込むと、口角を上げた。
「お前の望みをかなえてやるよ」
鼻先に唇が触れ、爪で傷つけぬように指を曲げて胸の粒を挟み込む。身体をそらしながら腰が揺れ、張り湯が音をたてる。
「ファブリス」
ぐったりと身を預けてくる。このままではのぼせてしまう。
「続きはベッドで。いいだろうか?」
「好きにしろと、いったはずだ」
その身をタオルに包み抱き上げる。
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