02:自分とは住む世界の違うセフレ

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02:自分とは住む世界の違うセフレ

◇◇◇ 「うへぇ、遅れる~」  それから三日後の金曜日の夜、由雄は駅前のビジネスホテル『パレスガーデン』に向かって走っていた。  広海と待ち合わせをしているホテルのレストランは21:30でラストオーダーになるため、それまでに来るように言われていたがすでに21時を過ぎている。広海と会うようになってから毎週金曜日は休みを入れていたが、今日は貸し切り客があり、その準備を手伝っていたのだ。 「よっしゃセーフ!」  由雄が飛び込むと、ちょうどエントランスに立っていたボーイが吹き出した。 「いらっしゃいませ、お連れの浅瀬様ですね」 「ひろみんご、来てる?」 「はい、先程からお待ちです」 「だよね~」  何度もここを待ち合わせに使っていることもあり、店のボーイは由雄のことを覚えている。フランクに話す由雄の扱いに最初こそ戸惑っているようだったが、最近は慣れてきたようだ。 「おーい、ひろみんごー!」  ボーイに案内されながら、窓際の席にいた見慣れた姿に由雄が手を振ると、ノートPCで作業していたらしい広海はその声に顔を上げた。周囲にいる、いかにも気品のあるそうな客が一斉に広海を見る。 「あいかわらずおまえは服装に気を遣わないな。なんだ、その気色の悪い柄は」 「え、バナナ超かわいくね?」 「おまえは海賊王にでもなるのか」 「確かに! あと麦わら帽子があったら完璧じゃん!」  バナナ柄のアロハシャツにハーフパンツ、足元はビーサンというラフな格好でムーディな内装と間接照明の空間の中で由雄は明らかに浮いている。それにひきかえ、ベージュのソフトジャケットに黒Tをインナーに着て、チノパンという大人のカジュアルな格好の広海はシティホテルの雰囲気に見事に溶け込んでいた。
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