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一(三)
市営の室内温水プールは、長いすべり台や流れるプールなどがあり、料金も比較的安いということでちょっとした有名どころであった。
背中に大きなリボンのついた赤い水着に着替えて行くと、征己はすでにプールサイドで待っていた。
その姿を見て、友愛の足はつと、止まってしまった。
なぜかそれまでのように無邪気に駆け寄ることが出来なかったのだ。
別にずっと会っていなかったわけではない。
時折姿を見掛けてはいたが、その日肌を露わにした征己の姿は、父親とも同級生とも違っていた……。
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