裏花言葉

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裏花言葉

「この前教わったアニメ、アマプラで観たんだけどあれスッゲーオープニング凝ってるのな!」  断崖絶壁90度の寝癖をつけた佐々木が、前の席から意気揚々と話しかけてくる。 「知ってた?!あれさ!オープニングで黄色い百合がすっげぇ出てくるんだけど、その花言葉が【偽り】と【陽気】なんだって!ただのギャグアニメじゃなくて、こう言う所がエモくていいよな!」  朝一番の会話が大声でこんなのから始まる度に、僕のクラスでの立ち位置は確固たるものになっていく。が、その辺を気にするのはもうやめた。 「へー、それは知らんかった。わざわざ調べたん?」  自分の席に座りながら、脊髄反射的に聞き返す。 「いや!まとめサイトでたまたま見た!」  知ったかぶらないのが佐々木の美徳だ。嫌いじゃない。 「それでさ!ついでに見つけたんだけど『ホントは怖い花言葉5選』って言うのがカッコよくてさ!」  昨日は『神話や伝承に登場する最強の武器7選』だったので、二個減った今日の朝の定例報告は少し早めに終わりそうだ。 「まずアザミ!裏花言葉は【報復】!」  花言葉に裏表があったとは初耳だが、一切触れずに自分のスマホでも「花言葉 怖い」で検索をかけてみた。 「ロベリアは【悪意】で黄色いカーネーションは【軽蔑】!いやーこれ今度なんかに使いたいなー!」  いったいお前が花言葉を何に使うというのか。それよりもその寝癖に水でもかけたらどうだと思ってるうちに、件のページを見つけることができた。 「キブシは【嘘】で、なんとマリーゴールドが【嫉妬】【絶望】【悲しみ】!これ激アツじゃね!?」 「へー、佐々木くんって物知りさんなんだ」  いつの間にかに後ろにいた淳子の言葉に、佐々木はまるで静電気に打たれたかの様に背筋を伸ばし振り向いた。
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