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ヒトキライ
「百物語って、こうして集まって怖い話をすると、おそろしいものがやって来るんでしょう?」
雑居ビルの一室で、住人たちが集まって蒸し暑い夜に涼を得るため、百物語を語り合うことになった。
冷たいものを口にする。海で泳ぐ。など涼を得る方法なら、百物語でなくても、ほかにもあったのだろうが、ひとの来ない、何もない雑居ビルにずっと棲んでいる住人たちには、それしか出来なかった。
「じゃあ私から、学校のみんなが私のことを無視するの、これっていじめだよね。で先生に話しても、先生も無視するのよ。でもね、そんな学校のひとらに天罰が下ったの」
ビルの住人の一人、日崎葵依が一話目を語り始める。
「どんな天罰?」
「クラスで集合写真撮ったら、幽霊が写っちゃってみんな血相変えて大騒ぎしたのよ。クラスは呪われてるって」
百物語の一話目の内容も充分奇妙だが、雑居ビルの一室に女子高生が棲んでいるという状況もどこか変である。にも関わらず百物語に参加した雑居ビルの住人たちは、ひとことも言及しない。
二話目、三話目、それから四話目と怖い話を続けていく。
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