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「ぼぼぼ、僕を殺しに来たんだ。どどど、どうしようっ!」
景山は突如狼狽え始めた。
百物語に参加した一同は確信する。百物語を最後まで語るとおそろしいものがそこにやって来るということは、迷信ではなく、間違いなく事実だと。
百物語を語って来たものたちは、やって来た恐ろしいものに皆、殺されて来たということも。今回は自分たちの番だと思うと、こうしてはいられないと、雑居ビルの住人たちは立ち上がる。
「殺されてたまるかっ! みんな、狂った女を部屋に入れちゃダメよ」
百物語に参加した中年女性の河野芳江は、部屋のドアを押さえ込むと、日崎と景山たちもドアに体重をかけて女の侵入を全力で阻止しようと試みる。
「どうやらこの一室にいる悪霊たちは、かなり強い怨念があるようです。なかなか開けてくれません。ここはお経で、悪霊たちの気を鎮めようと思います」
扉の向こうで女が経を唱え始めた。
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