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雑居ビル内で繰り広げられるデスゲームは熾烈を極めた。
殺されるべき言われのない者たちが、狂った女によって一人二人とこの世から消されていく。自分たちは助けることも出来ず、ただただ叫びながら逃げ回ることしか出来ない。
「誰か、助けて下さいっ! 変な女に殺されそうなんです」
河野はビルのロビーから、外に向かって声高に叫んだ。だが、誰から返事もなく、助けに来る気配がない。
「どうしてみんな無視するのよ。あんたたち、ほんとに人間なの?」
日崎も叫ぶが、やはり返事は来ない。
助け合いだと普段から謳っている割りに、本当に何か起こった時には誰も助けに来ないのはおろか、何も感じないのか。そんな世間の冷遇にビルの住人たちは、ますますゾッとした。
「ぎゃあああああっ!」
景山の悲鳴が聞こえる。どうやら景山まで女に殺されたようだ。
「景山さんが殺された。私たちどうすれば良いの?」
次は自分の番だ。そう思うと日崎は気が気ではなくなって来た。
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