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「大人しくこの世から立ち去りなさい。あなたたちは、ここにいては人に害を与えるだけです」
女が、日崎と河野に、にじりよってくる。
「それはこっちの台詞よ、この人殺しっ! あんたがいなくなればいいのよ!」
「警察呼びますよっ! あなたはすぐ逮捕されますよ!」
日崎と河野は、交互に女に罵声を浴びせるが、女はそんなことなど構わず日崎たちにジリジリと接近する。
「先ずは、そこの中年女性からいなくなれっ!」
女は河野に襲いかかり、消してしまった。
「河野さんっ! イヤだ。死にたくない。誰か助けて、助けて下さい。誰か助けて下さいっ!」
どうして、こういうことになってしまったのか。日崎は百物語を始めた時のことから順番に思いだそうとする。百物語をすると恐ろしいものが現れるとは言ったが、本当に恐ろしいものがやって来た。
『複数の霊が集まったから除霊する必要がある』という理由だけで、ひとを幽霊、もとい悪霊扱いし、ビルの住人を次々殺害する連続殺人に出た。自分たちの言うことなどまるで聞く耳を持たないと言った感じだ。
ビルの周辺の人間たちも、近所で連続殺人が起きているのに何も知らない風で、警察すら来ない。
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