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姉は高い所が苦手だ。
知的障害で3歳位で知能が止まってる。
障害のある姉と唯一、同じ空間で遊べる。
だから姉は遊園地や動物園が大好きだ。
しかし、怖がりなのだ。
でも妹としてはそんな姉を揶揄うイタズラ心が発生する。
皆さんにもありません?
年の近い同性の兄弟こそ、揶揄いたくなる気持ちが・・。
一緒に遊べる空間があれば、一緒の感覚を味わいたいのが。
勿論悪趣味だと思う。
はっきり言って、自分でも悪趣味と思う。
はっきり言おう。
・・私は悪趣味だ!
以前、観覧車迄はギリギリセーフだった。
窓を眺める私に対し、姉は決して外を見ないけど。
でも頂上に着た時、姉も遠くの景色を眺めていた。
なるほど、高いと言っても高さの限度を超えなきゃいいわけだ。
遊園地のジェットコースター。
やはり、あれに乗らないと駄目でしょ。
姉と一緒に、メリーゴーランドに乗るのも飽きた。
「あれに乗ろうよ」
見るとそんなに高くない。
子供向けなのか、可愛いキャラクターが付いている。
よくある逆さになるのと違い、フリーフォールでもない。
行ける!と思った。
だが・・。
##
なにこれ!キャラクターに騙された。
しかも、よりによって1番前にされてるし。
順番だから、そのまま乗った私が愚かすぎる。
「ぎゃああああ―――!!降ろしておろして」
姉の悲鳴が響き渡る。
私も正直ここまでと、思わなかった。
スピンの速さ、グネグネと曲がる。猛スピードだ。
隣で姉が、半べそになっている。
「途中で降りれないの、最後は降りれるから!」
「いつ終わるの、いつ終わるの⁉」
私が聞きたい。
酷い事をしてしまった、自己嫌悪だ。
やっと、ジェットコースターから解放された。
姉は逃げる様に、降りた。
座り込んでいる、腰がぬけたか?
「ごめん許して、何でもおごる」
「たこ焼き」
「もちろん!」
「アイス、焼きそば、クリームソーダ―」
「ハンバーグ、ケーキ…それと」
おいおい、どれだけ食べるの。
やはり食べ過ぎなのか、レストランのハンバーグ定食は肉だけ食べ、
後は残した。
しかも、土産物屋でちゃっかり饅頭とか買うし。
ストラップとか買うし。
まあ、機嫌治してくれてよかった。
はい、反省してます。
私は、ハンバーグ定食に食後のコーヒー。
姉は小さなケーキを2つも頼む。
クリームソーダを飲みながら、ご機嫌だ。
よし、仕切り直しだ。
「今度は、どこへ行く?好きな所でいいよ」
にやりと、姉が笑った気がした。
##
「ここ!」
姉が指さした先。お化け屋敷だ。
しかもここのお化け屋敷は怖いので有名。
「ホントに…ここで‥いいの?」
「うん!」
何と言う嬉しそうな顔で笑う?
「怖いよ…ゾンビとか‥追いかけてくるよ」
自分の声が震えるのが、自分で分かった。
「うん!怖いの好き」
今度は姉が私を引っ張る。
私の背中を、冷たいものが走る。
じりじりと、引っ張られていく。
「やめよう…よ」
「好きな所と言った!」
今度は私が泣きそうだ。
正直心臓が、バクバク言ってる。
入るの?
「…1人で‥行って。‥外で待ってるから」
「一緒に行くの!」
言い出したら姉は聞かない。
また今度、と言っても多分無理。
足が震え出した。
私はお化けがダメ、ゾンビもダメ。
心霊番組もダメ。
そっち系は、全部ダメ。
お化け屋敷なんて、絶対無理でーす‼
「一緒に行こう(^^♪」
姉は、お化け屋敷大好き人間なのだ。
引きずられる私の背中を、冷たいものがタラタラ流れる。
「なんで、お化け屋敷なんてこの世にあるんだ!」
姉は物凄い力で、引っ張る。
騒ぐだけ、無駄な抵抗。
私は半泣きで、お化け屋敷に入っていた。
「ぎゃああああ―――‼」
今度は、私の悲鳴が轟く。
これを、天罰と言う。
終わり。
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