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現状
そして、現在の結果だが、女の子は優壱、幸平、昌克の三人の頭を叩き割った。桃夜は一体の人形の頭を叩き割っただけ。女の子はあと一人、俺の頭を叩き割れば勝ち。桃夜はあとニ体の人形の頭を叩き割らないといけない。人数が合わないのは俺たちに対してのハンデだ。
女の子の番になり、目隠しをしてその場で十回、時計周りでぐるぐる回る。女の子が一歩進むたび、「そのまま真っ直ぐ」「もう少し右に」「二歩半左に」と周囲からは無茶苦茶なガヤが入る。
全員が女の子の味方だと思いきや、余計な茶々いれをする奴もいる。
完全にこのゲームを遊びとして認識しているのだ。
俺たちの命の行方はゲーム感覚で左右されるのだ。
女の子は声の赴くままに、方向転換をしながらフラフラと此方に歩いてくる。徐々に、俺に近付いてくる。
どっか行ってくれ、と心で願うも虚しく女の子は俺の真正面へやってきた。太陽を背に、棒を大きく振りかぶる少女の姿は逆光して眩しい。思わず目を瞑った瞬間、女の子の明るい声が聞こえた。
「そーれ!」
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