【Ⅲ】死者の書。

3/4
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
暫くの間、咲き乱れる花を眺めていると… 何処からともなく、二人の少年が現れた。 『…おいで…』 『此方へおいで…』 白い服を纏った少年達が、私の腕を取り、優しく(いざな)う。 「待って、何処へ行くの?」 『あっち』 『あっち』 白い少年達が、オーロラの棚引く山の向こうを指差す。 「──あんな遠くへ?」 『大丈夫』 『空を翔べば大丈夫』 翔ぶ… どうやって? 脳裡に疑問が過ぎった──その刹那。 私の体は、ふわりと宙に浮いた。 羽根が生えている。 剥き出しになった私の背に、真っ白な翼が──! そうして。 彼等に導かれるまま、私は翔んだのだ。 一際明るい光を放つ、『その場所』を目指して。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!