【Ⅱ】輪廻の書。

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そんな私に、智也は云ってくれた。 「一緒に来いよ、NY。」 「智也─…」 「最初は大変かも知れない。でも、一緒ならきっと何とかなる。」 「うん。そうだね…」 「そうだねって──。紗季は、そう思わないの? それとも俺に厭きちゃった?」 「智也こそ、本当に私なんかで良いの?」 それは、私が一番、知りたかった事。 彼を疑う訳じゃない。 でも、私は彼の本心が知りたい──なのに。 そう思う一方で、答えを知るのが怖くもあった。 相反する二つの感情に、私の心は揺れる。 智也から返って来たのは、こんな言葉だった。 「俺は、紗季が良いんだよ。お前じゃなきゃ意味が無い。」 抱き締める腕に、力が籠る。 …彼ならきっと、そう言ってくれるだろうと思っていた。 不安の雲が晴れて、希望の太陽が顔を出す。 私を包む、温かな笑顔が…何より、一番嬉しかった。
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