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そんな私に、智也は云ってくれた。
「一緒に来いよ、NY。」
「智也─…」
「最初は大変かも知れない。でも、一緒ならきっと何とかなる。」
「うん。そうだね…」
「そうだねって──。紗季は、そう思わないの? それとも俺に厭きちゃった?」
「智也こそ、本当に私なんかで良いの?」
それは、私が一番、知りたかった事。
彼を疑う訳じゃない。
でも、私は彼の本心が知りたい──なのに。
そう思う一方で、答えを知るのが怖くもあった。 相反する二つの感情に、私の心は揺れる。
智也から返って来たのは、こんな言葉だった。
「俺は、紗季が良いんだよ。お前じゃなきゃ意味が無い。」
抱き締める腕に、力が籠る。
…彼ならきっと、そう言ってくれるだろうと思っていた。
不安の雲が晴れて、希望の太陽が顔を出す。
私を包む、温かな笑顔が…何より、一番嬉しかった。
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