月曜日

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 彼女の方をちらりと見る。真剣に話を聞いて、ノートをとっている。下を向くたびにはらりと髪が頬にかかって、その髪は触ったことはないんだけど柔らかそうだなと思った。  あの髪を彼氏は撫でているんだろう。彼女はさっき女友達に撫でられたときみたいに、笑ってそれを受け入れるんだろう。  もうどうすりゃいいんだろうか。  一人で満たされない欲望は、オレの中でグルグルと渦を巻く。  別れればいい。  そう思うけど、別れたら彼女は泣くんだろうと思った。別れたときのことを想像したけど、それはそれで違う気がした。オレは彼女に笑っていてほしいと思うし、幸せな気持ちになって欲しいと思う。  でももしも。  万が一。  別れたら。  そっと優しい言葉をかけて、傷付いた彼女に寄り添って、元気付けられたらいいなとは思う。教室ではうまく彼女に話しかけられない、ビビリのオレだけど。
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