シャンプー

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シャンプー

 彼女の髪から柑橘系の香りがした。シャンプー変えたんだろうか?いつもならもっと甘い香りがするのに。その疑問をふと口にしたら、彼女は何でもないように「彼氏のシャンプーなの」と答えた。いい匂いだよねと笑う彼女にオレは何も言えない。 「ねえ、ここ分かる?」  参考書を広げながら、図書館の勉強スペース。彼女のヒソヒソ声が耳に当たってくすぐったい。隣に座る彼女は柑橘系の香りをふわりふわりと漂わせながら、参考書のページをオレに見せてくる。 「ここ、分かる?」 「分かる、けど・・・」  彼女が指さしたのは英文法の問題。日本語に合わせて英単語を並び替えるという至ってシンプルな問題。思わず彼女が近くなったので姿勢を正すふりして逃げる。 「ん?何?」 「いや、別に」
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