3人が本棚に入れています
本棚に追加
魔法でかき氷を作るには……?
私は見習い魔法使い。
今日のおやつにひんやり冷たいかき氷が食べたくて、お師匠さまに魔法でなんとかできないか相談中なの。
「よーし、今から俺が魔法で南極の氷を召喚するから楽しみに待ってろよ!」
「え⁉ 海の氷ってしょっぱいんじゃないですか?」
私の問いに、彼は自信満々に答えながら大きく手を振りかざす。
「大丈夫だ! 南極の氷は氷河期の雪が圧縮されたものだからな。真水だからしょっぱくないのだよ!」
知らなかった! さすが、お師匠さま……!
私はわくわくしながらかき氷シロップと器とスプーンを用意した。
そしてお師匠さまが魔法陣に向かって呪文を唱えると……
魔法陣から巨大な氷が出現した。
ただし、中にでっかい毛の生えた象みたいなのが閉じ込められてるけど。
「こ……これは、マンモス!」
「……お師匠さま、これ本当に南極の氷なんですか?」
私が冷ややかな目で見ると彼は真顔で氷を観察した。
「マンモスはロシアに生息してたらしいから――たぶん北極の氷だな」
「……反対側じゃないですか!」
「大丈夫だ。北極の氷は海水だが凍るときに不純物は取り除かれるから、かき氷にしてもしょっぱくないぞ!」
「マンモス入りのかき氷なんていりませんよ! もっと普通のかき氷が食べたかったです」
「ならば、もう一回チャレンジ……! えぃっ!」
お師匠さまが手を振りかざすと、魔法陣の上ではペンギンがこちらを不思議そうに見上げていた。
「きゃぁぁぁぁ! 何やってるんですか! 可愛いけど元のところに返してあげてください!」
彼は慌てて転送の魔法を唱えてペンギンを元の場所へ返した。
「かき氷……」
「――あぁもう! 南極から氷を召喚するのはやめやめ!」
お師匠さまはそう言って氷の召喚をあきらめた。
確かに次に魔法を使ったら、何を召喚するかわかったもんじゃないもんね。
最初のコメントを投稿しよう!