内定0でも諦めないで

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内定0でも諦めないで

 おめでとうという言葉をきくのがつらい。そんな経験は、人生でそう何度もないだろう。 「卒業おめでとう」 「ありがとうございます」  今、私の目の前では、そんな言葉が飛び交っている。  ここは私が通っている大学のカフェラウンジ。今日は大学の卒業式だった。そして、四年生である私は、同級生たちと共に卒業パーティに出ている。私達女子学生は、色とりどりの袴姿だ。 「この袴、かわいいね」  そう言って盛り上がる。実は当初、私は袴ではなく、スーツで出席する予定だった。しかし、一週間前になって、思ったのだ。 「もうスーツ着るの、飽きた」  就職活動で連日のように黒いスーツを着ているのだ。卒業式ぐらい、違う格好がしたかった。そして、近所の着物レンタルショップに駆け込んだというわけだ。  私が着ているのは、上が黄色に、下が紺色の袴。そして、髪もセットしてもらって、赤い花の髪飾りをつけている。  赤は、おめでたい時によく使われる色だ。  友達には「着物似合ってるよ」「髪飾りも可愛いね」と好評で、とても楽しい卒業式になった。他の友達の「衣装」を見るのも楽しかった。レンタルしたのは正解だったと思う。 「卒業おめでとう」  カフェラウンジでは、こんな言葉が飛び交っている。そう、この言葉ならば、まだにこやかに受け止められる。しかし、今の私には聞きたくない言葉があった。
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