第1章 ルドルフの野望

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ずどどだだだだ…激しい音ともに地面に魔法陣が描かれる。何が起こるかわからないがほぼ部屋全体に魔法陣が描かれるているので逃げ場がない。 「…。」 ブルームは気力を振り絞りかすかに見える中心の浮いた幽霊に斬りかかる。今はまだ光っているだけだが地面の魔法陣から何が起こるかわからない…早くしなければ。 「…。」 光が強くなり眩しくて目を開けてられない…がヴィネッタには懐かしくもあった。 「見えていないけど…なんだか泣いてる?」 中央にはマントが宙に浮いているだけだが、ヴィネッタを感じてからやや俯き加減になったような気がする。多分…こちらを向いた。 それからすぐに魔法陣の光が弱くなり、マントの存在も薄くなる。もしかして逃げた?しかし次の瞬間…ヴィネッタの目の前に現れ…た。不意打ちを食らっている、魔法は間に合わない。 「…似ているようで、こんな弱いはずがない。魔王様はどこにいるの?」 ヴィネッタには何かを感じているが元魔王だということに気づかない。ヴィネッタには近づいてきたことで幽霊の顔がはっきりと見えたが見覚えがない…が何か違和感がある。その違和感がわかった!幽霊のマントは長年愛用していた魔王の時のマントを着ていた。 「魔王様はいつになったら来てくれるのだろうか?」 「来たらどうするの?」 「えええっえっ!!見えてる!?」 明らかに動揺して後ろを向いてフードを被る。ヴィネッタ以外にはマントが動いてフードがなんだか動いた程度にしか見えていない。ヒラッ…マントに宿った魔力が突然消えた…もちろんヴィネッタの目からも幽霊の存在は見えなくなった。
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