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ゆらりと落ちたマントは動きそうもない。手に取ると確かに懐かしいマント…あれほどあった魔力が消えている。
さささ…手に取ったマントは砂のように手のひらからこぼれ落ちた。
屋根の上に眠たそうにあくびをしながら寝転んでいる。
「あ〜そりゃあんな紛い物ではあまり意味がなかったね。うわっうわっ!!?」
推定200キロはありそうな体に屋根が耐えれなかった…ミシミシ。
「うっぎょっ!!」
かろうじて短い手足を目一杯伸ばして落ちずにいる。すぐに体を支えることができず腕がプルプルしてくる…汗も止まらない。
「こんなところに新しい橋ができたのね。早速渡ってみようかしら?」
「耐えれるわけないだろ!このデブ!」
「このく…。」
「びれなんてないじゃないか。僕の目には176.8キロと出ているよ。」
みるみるうちに顔が赤くなり丸々としたクロワッサンのような手で橋を壊した。ズバンッ!足が外れて手で踏ん張っているが、それは一瞬で限界がきた。ズダンッ!!
住人のおばさんは音に驚き上を見る。
「あでばっ!?穴が空いでる!?」
視線が上から下におりてきた。200キロの巨体が隠れる隙間などない。しかし、そこに姿はない。プッホという残音が微かにしたような気がした。
ずこごがががががごご…何か小さなものが排水溝やら隙間をぬって地下に降りていく。ズポポォォン!空気の流れが一定の方向に流れている…その次の瞬間流れは止まり、ボワッと大きな男と女が突然ヴィネッタの前に現れた。
「ドカッと登場!」
「ゴーリラ…あたしは鼻が効かないから誰かわからないけど…どれ?」
「この小さな女の子…か、匂いは確かに魔王とそっくりだけど弱すぎる。」
外れとばかりに肩を下ろす。
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