第1章 ルドルフの野望

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「逃げてもいいぞ。」  この状況ではそうするしかない。一応だが後ろを見る…ブルームだけならどうにかなるかもしれないが…。 「次の人生でな!!」  本気で剣で斬ろうとした。力一杯振り下ろした剣はヴィネッタの肩を傷つけた…それでも後ろからの声で剣は途中で止まった。 「サンドラ様!殺してはいけません!」  その声をかき消すようにさらに後ろから声が聞こえる。 「そこまでだ!!」  騎士団の数を考えると逃げることはできそうにない。ダッ!考える時間さえ与えてくれそうもない…各々の武器を取り出してこちらに向かって走り出す。一瞬の後にヴィネッタの周りにいた人たちは串刺しされている。その勢いは止まらない。 「こちへこいっ!!」  突然後ろから手を引っ張られた。後ろに何かいなかったはず…。 「消えた!?」  ダドダドダダ…。暗闇でほとんど見えなく怪しく思うがあのまま残っていても先はない。 「俺が思うに…可能性がある。」  何を言っているかわからないが今はついて行く。すると、先に光が見える。前を歩いているのは人ではない?  外に出るとそこはエルムの外につながっている。 「俺を見ても驚かないのか…?って1人以外驚きすぎて声が出てないじゃねーか!!」 「どうしてベアーフが?」  ベアーフは熊のようで熊ではない。優しい性格なのでモンスターの中でも人懐っこいのだが姿がいかんせん熊なので恐れられている。 「がおーーー!!」  驚かすつもりがないので何も怖くない。 「……はっ!?」  ブルームは驚きから意識を取り戻す。すかさずシルバーソードを構える。その構えるよりも先にベアーフは手をあげる。 「何もしねぇよ。俺らはセスから逃げてきた。」
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