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「いつの時代の骨董品なんだ?」
その恥ずかしげもなく出した義手らしきものは義手というよりも案山子の手のようにボロボロである。
「それでいい。」
付けていいと言っているような顔をしながらレイを見ている。
「いいの?」
レイ以外の誰もが思っている。モンスターのベアーフさえも思う。レイはニードラゴン003の腕に近づける。つくかつかないところで肩から人では到底できない触手が義手を掴み融合する。大きさが多少違っていたが、そんなことは些細なことのようだ。
ガジジャジャビャジャジャ…。さっきまでは壊れかけの義手だったものが木色の腕になっている。
「継ぎ目がない。」
コテッ!繋がっているが動きの連動性がとれていない。ニードラゴン003の力は50分の1にも満たないだろう。
「うーん…このままではヴィネッタたちとクエストするわけにはいかないね、ということで私のアシスタントね。」
ニードラゴン003は理解し切れていない。
「それにニードラゴン003なんて呼びにくいって思ってなかったの?ニドでいい?…それでいいよね!それがいいよね!!」
肩を持ってレイがニドを縦揺れで揺らしているのでうなずくことしかできない。
「うぎゅうかぁふずぅあかぎゃ。」
「それでいいかい?」
話が終わったところでブルームが言いたかった一言を切り出す。
「お腹が空いたんだが…。」
ベアーフもお腹が空いていたのであろう口からよだれが溢れている。机の上はもう水たまりができている。
「だだぼぼばがだぼ…。」
困っている感じが読み取れるということはモンスターの自分が行っていいのか危惧している。
「それならこれを被っていくかい?」
冒険者ギルドに置いてあったいつから使っていないのかわからないほどに埃をかぶっていたローブを差し出した。
ニドも行くかと思われたがレイが仕事を覚えさせたいとメリーに残った。
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