第1章 ルドルフの野望

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すぐに周りを見たが追っかけてきていた人たちはそこにいなかった。 「…。」 「クエストが俺を待っている!!」 すぐさまブルームは惚れ惚れした目でシルバーソードを眺めている。 「おっ!そりゃ業物だね…。」 いつのまにかブルームと一緒にシルバーソードを同じ動きで眺めている。 「おっと失礼。」 シルクハットを手に取り深々と頭を下げる。その縦に持ったシルクハットのつばの部分からブルームを見る。 「それでなんですが…少し持たせてはくれませんか?ほんの少しで良いのです…この業物にもう惚れてしまっています!」 渡すのには抵抗があったが、ここまで言ってくれていることにブルームは嬉しくもあったので名も知らぬおじさんに渡した。 「おぉー!このヒック…生きてきてこんな幸せなことはない…。無上の喜び!」 ヒックはタキシードを振り乱しながら喜びを表現していたが…突然歩いていた女性のお腹にシルバーソードを刺した。 「これはたしかにいい斬れ味ですね。」 女性のお腹からは血が溢れているがシルバーソードには血の汚れがない。それほどに斬れ味がよく女性は何事もなかったように歩いている。数歩歩いて自分のお腹から血が出ていることに気付く。 「えっ…!?」 自分の傷に気付き急に顔が青ざめる…。 「ぎゃぁぁぁぉぉぉぁぁぁーー!!」 悲鳴で周りがパニックになる。歩いているのは少なかったので…それでもプチパニック。 「それでは返します。」 「…!!」 メリルは女性を助けようとして駆け寄る。血が大量に出ているので体が痙攣している。ガクガクガクガク…目も白眼になって一瞬近づくことをためらいそうだが、メリルは気にすることなく助ける。 「おっと危ないですね。」 ブルームはシルバーソードで牽制する。 「私は斬れ味を試しただけです。人を斬りたいわけではないので無害です。」 「そんなことが…通じるかっ!!」 スピンッ!致命傷にならないように斬ったようにだが…ギギィ…弾かれた!?
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