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エルムに着いて歩き続けたのでお腹が空いてきた。空は月が顔を出している。
「あそこでいい?」
全員がお腹が空いていたので反対するものはいない。
「いやっしゃいさせ!」
挨拶されて席に着くと隣からこちらを鋭く見る若い男がいる。
「冒険者なのか?」
怪しげな男はよく見ると左足がない。
「ギルドでクエストを出したって聞いたが…それか?幽霊関係の…。」
「…で?」
「俺かい?俺はギルドで掃除係をしているモリーってもんだ。」
口の中が寂しくなったのか…モリーは骨つきのチキンを口に含んだ。頬張り過ぎて何か言いたそうだけど何も言えない。
「…。」
音もなくヴィネッタたちの前に料理が運ばれてきた。見た目は茶色で綺麗ではないが匂いは美味しそう。
「…これ美味いな!」
「何?」
「モンスターじゃないよね…。」
食べていることに夢中になっていたらモリーはいつのまにか食事を終えていなくなっていた。むしゃむしゃ…クレアは満足そうに肉を食べている。
「聞きたいことがあったけど…まぁいっか。」
「もう動けない…。」
料理を出すときも何も音がなかったがオーナーから声をかけられた。
「あまり人が死ぬのは好かんな。地下はそっとしておくのが一番なのさ。きちんと管理さえすれば落ちたモンスターも出てこないしな。」
「幽霊なんて魔王に敵うわけないでしょ!」
ヴィネッタのオーナーにはピンとこない言葉を最後に店を出た。
「うにゃ〜〜。」
クレアは眠たそうに大欠伸をしている。そしてすぐ寝た。成長しているのか意識のなくなったクレアは眠たい。
「…。」
周りを見渡して宿がないか見たが、近くには怪しげな宿しかなかった。
「宿屋ゴースト…。」
「幽霊退治の前に呪われそうな宿だな。」
それでも仕方なく泊まる。だけど当然何も起きない…むしろ幽霊騒ぎに便乗した宿屋ゴーストは新しく綺麗だった。
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