<第四話~記憶喪失の宇宙人~>

1/4
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ

<第四話~記憶喪失の宇宙人~>

 どうしよう、と理音は頭を抱えた。目の前の少年はそれを見てぼんやりとした表情で首を傾げている。 「えっと……すまない」 「ああ、うん、その……お前が何もかも悪いわけじゃないというのは理解しているから、謝られるのもつらいんだけど……ああああ」 「やっぱり私が悪い、で間違いないと思うのだが」 「まあそれもそうなんだけど、うう……」  何故にこうなったかと言えば、簡単なこと。目を覚ました彼から話を聞いた結果、とんでもない事実が発覚したからである。  単刀直入に言えば、目の前の碧髪の少年は――自らを“異星人”と名乗ったのだ。つまり、宇宙人というやつである。そんな馬鹿な、どこのファンタジーだ、と本来なら自分も喚いていたところだ。確かに珍しい髪色をしているとは思うが、だからといってまったく見ないほどではないし(染めている人間もいるわけだし)、肌の色が少々真っ白すぎる気はするがそれ以外に特筆するべき点はない。目の前の彼は、普通の人間とさほど変わらない容姿にしか見えないのだ。つまり、小学生か中学生くらいの子供、である。見た目に反してちょっと声が落ち着きすぎている気がするが、まあそれ以外に不思議に思うようなところはまったくないわけで。  そんな“どこからどう見ても人間”の容姿の相手に異星人だなんだと言われても、即座に信じるのは当然難しいのである。――そう、彼が光の塊となって庭に突然出現するという、謎現象を目にした事実さえなかったのなら。 「……ええっと、確認するんだが」  ぐるぐるする頭を抱えながら、どうにか喉から声を振り絞る理音である。 「名前は、覚えてないんだよな?記憶喪失っていうやつで」 「貴方達の言葉を借りるなら、そういうものなんだと思う。他にもあちこち記憶が欠落していて、説明できることが非常に少ない」 「でも異星人だということは覚えている、と。何で日本語普通に通じるんだ?」 「全銀河対応の翻訳デバイスを使っている。こうやってピアス状にして耳につけているんだ。だから、日本語以外も英語や北京語、韓国語、フランス語など全ての言語に対応できる」 「そのへんの地球の知識を知っているのは?」 「昔此処に来たことがあるからだな。……どういう経緯で地球に来たことがあったのかは、かなりぼんやりとしか覚えていないんだが」  これ、と少年が髪を書き上げて見せてくれた耳元には、小さな金色の宝石のようなものがついている。これだけ見れば、とても機械には見えない。むしろただの装飾品としても地味なほどだ。これが翻訳デバイスになっているというのなら、完全にオーバーテクノロジーと言っても過言ではない。――勿論そのへんは、彼の言葉が真実であったなら、の話にはなってくるけども。  ただ、ちらりと見せてくれた彼の耳は、理音が知る人間の耳とは少々形が異なっているのは事実だった。簡単に言ってしまうなら、まるでエルフの耳のように尖っているのである。彼が実際本当に、ファンタジーの世界の住人である、ということを示すかのように。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!