<第三話~非日常の幕開け~>

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<第三話~非日常の幕開け~>

 これは一体、何がどうなっているのか。自分はついにイライラしすぎて頭のネジでも外れてしまったのだろうか。  理音はびくびくしながらも子供に近づいていく。ゆったりとした服のせいでその体格ははっきりとわからなかったが、多分小学生か中学生か、それくらいの年齢の子供であるのは間違いないだろう。親方、空から女の子が!なんてどこかのアニメの台詞が頭を過ぎって消えていく。――そもそもこの子は、本当に“空から”降ってきたのかも怪しい。だって見上げてみても、そもそも上に飛行物体らしきものも飛んでいない。 「う……」 「!」  小さく呻き声がして、もぞりと子供が身動きする。どうやら死体である、という最悪の結果ではないようだが。 「お、おい?」  とにかく、その――どういう状況で庭に出現したのかわからないが、このままにしておいていいとは思えない。いくら理音が“特殊な事情あり”の大人であるといっても、ぐったりした様子の子供をこのままほったらかしにしてしまうほど人間やめたつもりはないのだ。  もぞ、と動く子供。だが様子がおかしい。呼吸の音は聞こえるが、明らかに息が荒い。もしかして、どこか病気か怪我でもしているのではないだろうか。だとしたら病院に連れて行かなければいけないが――。  いや、そもそもこの場合、まず呼ぶべきは警察の方なのだろうか。ごちゃごちゃと考えながらもしゃがみこみ、子供の顔を覗きこもうとした、その時だった。 「ひっ!」  突然だった。ほっそりとした手が、見かけによらず強い力で――理音の腕を掴んで来たのである。  やってしまった、と思ったのは。その子供の金色の眼と眼が合ってしまった後だった。だが。
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